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遺言書は必要?

遺言書は必ずしも必要ではありません。
遺言書が残されていない場合には、法律で定められた割合(法定相続分)か、または、遺産分割協議によって定められた方法で、相続人に遺産の分配がなされることになります。

一方、遺言書を残した場合、その内容に従って遺産の分配がなされます。
そのため、相続人間のトラブルを回避したり、特別の効果を発生させたりすることができます。

相続人間で分割方法についての争いが生じるおそれがある場合

遺産分割は相続人全員の合意がなければ成立しないため、合意に応じない相続人が一人でもいれば、争いに発展するおそれがあります。
遺産の分割をめぐる争いは、相続人の間の関係を破壊しかねません。
そういった事態をさけるために、遺言書を残しておくことが重要となります。

相続人以外の人に財産を残したい場合

「お世話になった人に恩返しをしたい」「公益団体に寄付したい」など、 相続人以外の人に遺産を残したい場合は、「遺贈」によってします。
遺贈をするためには遺言書を残すことが必要となります。

また、不動産を遺贈する場合、遺贈を受ける人(受遺者)への名義変更の手続きには、相続人全員が関与する必要があり、相続人の一人でも非協力的であれば、手続きができないという事態が生じます。
それを回避するため、遺言書に遺言執行者を定めることが重要となります。

分割が困難な財産がある場合(不動産・自動車・美術品など)

遺言書が無い場合、不動産自動車などの分割が困難な財産は、相続人全員で相続分の割合で共有となります。

例えば、建物が3棟あって、相続人が3人いる場合、各人が1棟ずつ相続するのではなく、3棟それぞれが3人の共有となります。

このままでは、相続人の全員が建物を自由に使用・処分ができないことになるので、通常は話し合いによって分割方法を決定します(遺産分割協議)。
この遺産分割協議は、一人でも合意に応じなければ成立しないため、紛争に発展し、裁判手続きを取らざるを得ない事態が生じうるのです。

そのため、分割が困難な財産がある場合は、遺言書によって分割方法を定めることが重要となります。
もっとも、遺言書で分割方法を定めたとしても、一定の場合には相続人間の話し合いで分割方法を変更できるので、 相続人の意思を尊重することもできます。

相続人の中に、相続させたくない人がいる場合

遺言書にその旨を書くことで、特定の相続人に相続させないことができます。
もっとも、それが遺留分のある相続人の場合、遺言書の内容にかかわらず、その遺留分に応じた遺産を相続できることになります。

この場合、「廃除」の手続きにより、特定の相続人から相続権を奪うことが可能です。
この廃除は、遺言者が生前に手続きをするか、または遺言により遺言者の死後に行います。

遺言により廃除する場合には、遺言書で遺言執行者を定める必要があるなど、その他一定の法的知識が必要となるので、 専門家に相談することをお勧めします。